第120回 吉祥寺の街にも影響アリ?都市計画道路「外環ノ2」に迫る! (4)




 














第18回

4月17日の吉祥寺、武蔵野商工会館4階で開かれたのは、「第18回武蔵野市における地上部街路に関する話し合いの会」。武蔵野市の広報の片隅に開催概要が掲載されていたので、ご存じない方が多いのではないでしょうか。

■東京都都市整備局 話し合いの会 案内HP
  http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kiban/gaikaku/gairo-musashino.htm


実は今回で何と「18回目」を数えます。


初回は今から5年前の2009年のこと。そもそもの発端は、2008年に外環本線が大深度地下に都市計画変更され、それと共に公表された「外環の地上部の街路について(検討の進め方)」という資料。これを資料を元に「環境、防災、交通、暮らしの4つの視点で、外環ノ2の必要性やあり方について住民から意見を聴く」ことが話し合いの目的なんですね。この結果は、この「外環ノ2」の都市計画に関する都の方針に活かされる」ということになります。なので一応主催は東京都都市整備局さんということになります。

さて、この話し合いの会の様子、一体どんな感じなのでしょうか。


■写真出展:武蔵野商工会館会議室

        http://www.musashino-cci.or.jp/
         (実際は構成員着席用に方形に机が並べられ、その後ろに傍聴席がある配置ですね)


★Blog de お知らせ
   来週の日曜日の更新はお休みとなります!























 


改めて、この「話し合いの会」。

市民代表は、外環本線のPI外環沿線会議委員をはじめ外環ノ2の計画地域となる吉祥寺東町・南町の10名の皆さんで構成されています(会の構成するメンバーということで「構成員」と言われます)。残りの会のメンバーは行政側(都市計画の主体である東京都都市整備局、国土交通省、武蔵野市)と全体を進行する司会者となります。

全18回に渡って続けられているこの話し合いの会なのですが、この間に議論が交わされた結果としての要旨を一言、誤解を恐れずに言いますと




市民側
外環本線と外環ノ2は一体計画。本線が大深度地下化された以上、昭和41年の外環ノ2に関する都市計画決定は白紙に戻して、必要性を再度議論してはどうか

行政側
この道路は、交通に加え防災上も大切な道路計画です。皆さんの生活も良くなります。ただ本当に整備するか決めてません。ご意見をお伺いします







というもの。この構図を見る限り「話し合いの会」というよりは、むしろ「地元の意見を聞く会」という名前の方が妥当でしょう。


■参考「話し合いの会」の位置づけ=「地元との話し合い」
  (外環の地上部の街路について(検討の進め方)抜粋)



上記の要旨の通り、市民構成員の皆さんは「外環ノ2は白紙に。もう1度必要性を議論を」という意見。この意見をもって会の目的は達せられている様に見えますが、都市整備局さんは市民構成員の皆さんから、「一言でも」「外環ノ2に関する前向きな言質」を引き出したい様に見えすまね。実際はわかりませんが。

地元が全面反対では事業は進めにくいのは確かでしょう。

反対意見もある中で、●●●という前向きな意見もみられ、道路ネットワークの観点から事業を実施・・・」と、できれば報告したい。その目的が正しいかさて置き、東京都都市整備局さんは市民構成員の皆さんに、いろいろな資料を繰り出しています。




 












■参照:東京都都市整備局HPより(会の配布資料ではありません)



ちなみに今回の会合の東京都都市整備局さんの「資料14-4」は圧巻で、カラー刷りA3の資料も含めて約80ページにも及ぶ膨大な資料
 

さすがに市民の構成員の皆さんも、それら資料や答弁の問題点を指摘して、都市計画の見直しを促そうとするのですが、これがなかなか上手くいきません

たぶん皆さん地域活動を通して活動されてきた歴戦の方々なのですが、失礼ながらお齢を召された方も多く、お独り、PI委員の方の徹底したロジカルな主張に目を見張る以外は、東京都都市整備局さんの膨大な答弁資料の前に手を拱いているようにも感じられます

たぶん第19回も開かれる様ですので、ご興味があれば是非、武蔵野市報または関連するホームページを確認してみてください。

■参照:武蔵野市における地上部街路に関する話し合いの会(東京都都市整備局)
      http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kiban/gaikaku/gairo-musashino.htm


















で、この話し合いの会、どこに向かうのでしょうか。


現在の話し合いの論点は「外環ノ2」の整備効果データを検証する、という点ですが、Blog de 吉祥寺流に、より前向きに実のある話し合いにするための論点を考えてみましょう。



①論点1:東京都予算配分を念頭に置いた議論を
      (道路整備の是非のみならず)

 

先の通り、武蔵野市における「外環ノ2」の論点は、武蔵野市域区間の1㎞強の都市計画道路を整備するかどうか、ですが、やはり常に「東京都の将来に向けた予算配分をどう考えるか」という話に関連させて考えるべきでしょう。

平成26年度の都予算編成(当初/支出)を見ますと

 妊婦・出産支援 37億円
 多様な保育サービス主体の参入促進等 13億円
 子育て環境の充実 430億円
 高齢者の暮らしへの支援 279億円
 -----------------------------------------------
 幹線道路の整備 1250億円


ということになります。


計画ベースで3000軒の立ち退きが想定され、事業費も多額になるであろう外環ノ2整備ですが、この規模の道路整備が必要なのか、他に政策的に優先順位の高い項目はないのか、利害関係者や受益者のみならず、東京都民全体での意見集約が必要でしょう。

都議会の皆さんが、この問題にどうプレゼンスを発揮されているのか、見えていない所でありますが、この点はまた次回以降にしたいと思います。





















ともあれ、外環ノ2の整備にあたって街路植樹や特殊舗装はいいですが、すべてコストがかかる話で、この外環ノ2にどの程度の投資を行うのか、都民の合意と、コストパフォーマンスの裏付けがあっての話だと思いますので。

また世代的な観点で、市民側の構成員がシニア層に偏っている点は、開催日時・場所・告知方法も含めて、今後の改善の余地がありそうに思えます。

たとえば、子育て世代には複数の小学校・高校の学区域を道路が横切ったり、待機児童問題を抱える中、土地収用エリアに立地する幼稚園がどうなるのか、気になるところだと思います。










 














■参照:東京都都市整備局資料(移転の影響)


②都市計画の原点に戻した議論を
 (防災論点ではむずかしい)


「外環ノ2」の整備目的の一つに「防災」観点があります。


現在、東京都都市整備局さんの一丁目一番地の政策課題は「防災」。現在鋭意進めているのが「密地域不燃化10年プロジェクト」という災害対策。

























■東京都都市整備局のパンフレット

これは、市街地の不燃化と火災の延焼防止を図る目的があるのですが、平成26年度も、これらに合計約370億円(前年比160億円増)を投入する計画であり、東日本大震災以降、都市整備局さんの大きな予算の拠り所となっています。いわばこれを強力に推進することが同局の皆さんの最大のミッションと言っても過言ではないでしょう。













 







■参照:東京都都市整備局「密地域不燃化10年プロジェクト」の概要



実は「防災」論点が、話し合いの会の議論を難しくしている様に見えます。

そもそも「東名高速道路(第一東海自動車道)」と「中央高速道路」の整備に伴う都市部の交通分散を意図して都市計画されたのが、古くは1960年代の「外環道」の原点ですね。それと一体で計画されたのが、その名の通り「外環ノ2」という都市計画な訳です。

ところが


今の東京都都市整備局さんの主張は「延焼遮断帯を形成する主要な都市計画道路=外環ノ2を整備するべし」と、「防災」が主役になっている様に見えます。

防災のリスクは災害発生確率×被害の大きさという掛け算で計算できる訳ですが、この災害発生確率は「主観確率」になりがちです。いくら精緻に計算を重ねても、それぞれの立場で前提や見立てが異なることがあります。

恣意性を排除すべく行政の皆さんも客観検証を重ねています。ただ結局、立場の異なる双方の疑念を拭い去れず、道路整備のような利害が錯綜する政策をめぐる合意形成が難しくしているのが現状でしょう。これは東京に限らず。

 























 ■東京都都市整備局「延焼遮断帯」資料


たとえば、延焼遮断帯という話であれば「既存建物の不燃化を優先すべき」「防災ひとづくり(協働による減災)こそ重要」という議論になる訳です。また延焼防止を掲げつつ、その一方で道路に「植樹」して(燃えやすい)緑化を図るのは矛盾している等の指摘も、そろそろ出てきておかしくないタイミングです。



平成26年度 東京都予算編成方針によれば

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2014/02/70o2i100.htm

「都の行う全ての施策について、制度や事業の根本に立ち返り、必要性や有益性、執行体制や将来への影響等を厳しく検証し、スクラップ・アンド・ビルドの視点を徹底させ、必要な見直し・再構築を行った上で計上する。



ということで


都市部の自動車所有台数も減少し、免許保有者数も減少、1台あたりの旅行距離(運転距離)仕事利用も減少しつつある現在、原点である「高速道路整備に伴う流入車両の都心部における交通分散」という観点から、その意義とコストパフォーマンスを常に押さえながら議論を進めるべきでしょう。


その点で市民構成員さん側の主張に一理ある様に見えます。



 














■国土交通省資料 平成26年




③商業と吉祥寺のまちづくりの視点を入れる
  (用途地域は変更するの?)

今回の「話し合いの会」で1点気になる発言がありました。
用途地域を変更しなければ、外環ノ2開通後も低層の良好な住宅地が維持できます
という東京都都市整備局さんの発言です。







 











不燃化・耐震化を図るべく共同化を進めれば、どうしても鉄骨造の中層の建物になる可能性もあり、それなりの建物容積率も必要になります。幅員40mの幹線道路の計画ですので、現状の第一種低層住居専用地域から、中高層ないし近隣商業地域への用途地域変更も話として出て不思議ではありません。



 























現状の武蔵野都市計画図における五日市街道および井の頭通りの外環ノ2の交差地点における用途地域指定の状況から推測すると「近隣商業地域」に指定される計画があるのかもしれません。そうなれば吉祥寺・西荻窪の商圏構造への影響も考慮しながら検討を進める必要がありそうです。


ただし


今回の話し合いの会は東京都都市整備局さんが主体。商業を考える産業労働局さんではありません。同じく用途地域変更の主体となる武蔵野市さんも、この点は特に言及されていませんでした。議論されても、「今後の検討課題」扱いとなりそうですが、議事録に残すためにもぜひ議論を、というところですね。

■参照:武蔵野都市計画図
  http://www.city.musashino.lg.jp/machizukuri/toshikeikaku/004854.html



という3点が、とりあえず考えられるでしょうか。







いずれにせよ、この「話し合いの会」、東京都都市整備局さんの物量作戦がしばらく続きそうな気配です。平成26年度の話し合いの会関連を含む概算予算は5100万円昨年度に比べて1700万円積み増しです。


東京都都市整備局さんも、ここ数年が勝負ドコロと考えているのでしょう。予算増額で、目を引くカラー資料も増えると思います。









 










余談ながら、市民側の構成員さんの意見にもありましたが、東京都都市整備局さんも、カラーの「絵に描いた様に美しい街路のイメージパース」で期待を煽るのではなく、上記(下)の様な実態に沿った資料で説明された方が実のある議論に繋がると思います。市民側の構成員さんも歴戦の方々だと思いますので。

■東京都都市整備局 防災まちづくり資料




さらに余談ですが

この会の司会者さん中立を旨とされているところではあり、重きをなして会の進行をされていると思いますが、元武蔵野市の都市整備関連部局ご出身のOBの方ではあります。

第19回は、配布された「地上部街路に関する必要性(整備効果)のデータについて」という「道路整備の効果」の質疑に入ることとし「ようやくここまで来た」と仕切られていた点は気になりました。市民の構成員さんからすれば、「まだ道路を整備するとは決まっていない」という方もいらっしゃる様に思えますので。






 


















■参照:平成26年度東京都予算(都市整備局)



また、武蔵野市(行政)の構成員に「行政はしっかり下調整しとけ」と一喝されている場面がありました。行政内の下打合せではコレでいいですが、市民を巻き込んだ「話し合い」の場の司会者として、これは少し頂けません。

 

 

















■写真:武蔵野市吉祥寺南町の道路計画地(武蔵野市市有地)



ともあれ
 

何といっても東京都都市整備局さんの重要ミッション「木密地域不燃化10年プロジェクト」の目標は、平成32年(2020)年度まで

 ①市街地の不燃化により延焼による焼失ゼロ
 ②延焼遮断帯となる主要な都市計画道路の整備率100%

 
を目指すというもの。

 
主要延焼遮断帯とされている「外環ノ2」は、ここ数年で纏めて整備着手へと移行しないと、政策実現が厳しくなります。2014年度に入り、いよいよ行政というより、むしろ武蔵野市や東京都の「政治的な」正念場を迎えつつある、と言えるのではないでしょうか。