第126回 吉祥寺の街にも影響アリ?都市計画道路「外環ノ2」に迫る! (5)





第24回

Blog de 吉祥寺の最後の特集「外環ノ2」、正確には「東京都市計画道路幹線街路外郭環状線の2」の展開も佳境となりました。

吉祥寺のまちづくりにも影響を及ぼすかも!ということで、過去4回に渡り、賛成/反対でもなくフラットな視点から特集してきました。このあり方をめぐる会合、つまり東京都都市整備局さんが予定地・周辺地域の住民の意見を聞く「武蔵野市における地上部街路に関する話し合いの会」は現在も継続中。2015年12月に第24回を迎えました。

■参考:Blog de 吉祥寺「外環ノ2」特集
   
 http://www.kichijoji-city.com/search/label/%E5%A4%96%E7%92%B0%E9%81%93

■写真出典:昭和41年段階の外環ノ2計画(武蔵野市議会報)



12月18日

東京都都市整備局さんが「東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)(案)」を発表しました。





■参考:第四次事業化計画

この計画は、今後2016年~2026年の間の東京の道路整備の方針を定めたものです。外環ノ2(武蔵野・三鷹市域にまたがる約4600m)の扱いも書かれています。その方針とは、ずばり平成18年から引き続きの「計画検討路線」でした。「優先整備路線(速やかに整備に着手)」の下のランク、つまり「検討していこう」というレベルに落ち着いています。

■参考:武蔵野市における地上部街路に関する話し合いの会(東京都)
    
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kiban/gaikaku/gairo-musashino.htm

言い換えれば「各路線の課題に応じて、道路線形・幅員・構造などについて地元の意見の把握に努めながら検討し、方向性が定まった段階で必要な都市計画の手続きや事業化に着手する」ということです。

この表現だと少々曖昧になります。少し整理しますと、まず、これまでの会合で「(都市計画の)廃止も含めて検討」という線で、東京都都市整備局さんと予定地関係者の皆さんの間で認識統一が図られています。















一方

11月の会合では「検討すべき課題がある路線で、解決できたものについては随時やっていく考えを持っている」との認識が東京都さんから示されました。このあたりは両者に微妙な温度差があります。 その前のタイミング、2015年5月に実施されたパブリックコメントでは「必要性は確認されていますが、特別な事由により都市計画の内容を検討する路線 (区間)を計画検討路線」とされてますね。この表現が現実を表しています。

また、予定地住民の生活設計への配慮から、建築制限緩和措置と固定資産税・都市計画税の補正減免(地積割合によるが予定地外の▲10%~30%)も継続されています。


さて、この話し合いの会。以前から論点は「変わらず」で、

予定地関係者(市民)側
「外環本線と外環ノ2は一体計画。本線が大深度地下化された以上、昭和41年の外環ノ2に関する都市計画決定は白紙に戻して、必要性を再度議論してはどうか」


行政側
「社会経済情勢の変化に合せて適時適切に必要性の検証を行い、見直すべき路線は見直しました。その結果、この道路は交通に加え防災上も大切な道路計画です。ただ本当に整備するか決めてません。ご意見をお伺いします」


というもの。

第22回段階の議論も論点がかみ合わず平行線のまま。この日の資料も角2の封筒いっぱいの紙資料が配布されてます。「読み人知らず」の資料にならなければよいのですが。

さて

そもそもこの計画が立案されたのは昭和41年4月のこと。立案は、当時の建設省関東地方建設局と東京都首都整備局都市計画第二部が担当しました。その目的は「東名高速 中央高速の完成による車流入増の緩和」でした。

昭和41年の段階で武蔵野市議会は外環道建設計画に反対を決議してますが、当時の東京都首都整備局の企画課長の岩出氏は決議に対して「自動車の流れを総合的に検討した結果、現在の計画ルートを選定した。この道路は環状9号線に相当する。」「都市計画は住民の意見だけを聞いていたら絶対にできない。住民の犠牲の少ない方法を練り、都市計画審議会で大局的立場から審議して、決定することになる」と、相対する姿勢を鮮明にしています。

この話し合いの会で気になるのは、いまいち東京都都市整備局さんの本音が見えない点。延々と続く会合の状況から考えると、この岩出氏の発言こそが本音=腹の内、と推察してもおかしくないように思えます。

平行線のまま話し合いが続き、第24回。
















傍聴席から聞こえてくるのは「会議が堂々めぐりで進まない」「予算の無駄遣いだ」「会議を続けることが目的になっている。ストライキすればどうか」という声。行政が「市民の意見を聞く」という目的は達せられ、かつ論点も整理されています。しかしなぜこの会合が続いているのか、冒頭から苦しい雰囲気が漂っています。


今年2016年7月、「外環ノ2」は計画決定から半世紀=50年目を迎えます。

この議論の大元になっているのが、昭和41年7月30日の建設省告示「告示2428号 外環ノ2」。計画決定後50年を経て、その主たる目的「増大する自動車交通処理」という政策命題が薄れているのは、本特集前半の分析の通り。であれば、東京都都市整備局さんは、一旦この計画決定の廃止、または2020年に向けた一丁目一番地である政策課題「防災」を核とした計画変更を提案すべきでしょう。その上で、これまでの公聴経緯を意見書としてまとめて都計審に付議して、第三者も交えて再検討すべきでしょう。

また仮に、原案(外環ノ2は計画決定通り)とする場合、外環本線(告示2430号 東京都市計画道路 幹線街路 外郭環状線)が「立体道路制度」を使い大深度地下で建設されることとの整合性を説明する必要があります。









資料:国土交通省 外環東京地区地下断面図

前々回の分析の通り、地下78mクラスの大深度地下における4車線道路建設は、日本のインフラ建設技術の結晶です。世界の大都市を見ても、先進国大都市地表は飽和しつつあります。その解決策として地下空間活用は課題となっています。日本が先駆けて、それらの技術を活かした都市整備を進める意義はあるのかもしれません。

ただ一方で1m1億円とも言われる巨額なコストが必要となる大深度地下での道路工事。幹線であっても財政余力を考慮すれば無用な負担は避けるべきでしょう。




■資料:東京都都市整備局 資料

、、という面倒な展開は避けたい、ということは誰しも考えるものです。

東京都都市整備局の皆さんも、ここで「住民に理あり」で議論を終わらせると責任問題に直結するのかもしれません。「議論を微妙に噛み合わせず、話し合いを続ける」ことが目的化しながら、それが細かく積み上がり、今や第24回になりました。

「話し合いの会」1回実施で、会場10万、映像音響10万、行政15名で経費込100万、計120万。全24回実施でざっと経費3000万円くらいでしょうか。

あと、もう1つ気になるのは、予定地関係者(市民)側委員がそろってご高齢に見える点。大変失礼ながら。本事案に投じられた経験が発言の重みとして雌雄に資する場ではあります。ただ一方で、この予定地に居住されている30~40代の皆さんの素の意見もぜひ聞いてみたいものです。

また、行政側は代替わりをしつつ、(市民)委員から「勉強不足」と指摘されながら組織的に継続対応しています。上手に代替わりして体制を維持しないと、人が切れたところで行政さんに押し切られる構図も、都市開発関係の公聴や意見交換の現場でよく見られます。

次回は2015年年末の12月開催。吉祥寺の商業開発にも大きな影響を及ぼすであろう、この事案。今後どうなっていくのでしょうか。