第89回 吉祥寺の街が変わる!?進む再開発事業とは (1)
14万人
2013年5月、吉祥寺のある「武蔵野市」の人口は14万人を超えました。武蔵野町から市になった昭和22年の人口は63000人。そこから1957年に公団武蔵野緑町団地(現:UR武蔵野緑町パークタウン )、1959年に公団桜堤団地(現:URサンヴァリエ桜堤)などの大規模団地の建設が進んで人口が激増、オリンピックイヤーの昭和39年には人口13万人を超えてしまう勢いでした。
そしてそれから約50年を経て、今年5月に14万人を突破したんですね。
■写真:京王吉祥寺ビルの建て替え風景
■「吉祥寺駅北口の再開発」ダイジェスト~期間限定公開中です!
http://www.kichijoji-city.com/2013/07/blog-post.html
に転じた背景には、これら昭和30年代に建てられた旧公団団地の建て替えが進んだ点もあります。建て替え後の総入戸数はだいたい建て替え前の2割増し、かつ建て替え前は老朽化が進み世帯人数の少ない高齢者世帯が多かったのに比べ、建て替えを機に世帯人数の多いファミリー居住が増えました。
そんな市内人口増加の背景やJR中央線の三鷹駅以西の高架化事業と共に武蔵野市が手掛けていた再開発事業の一つが、吉祥寺駅の隣の隣、「武蔵境駅周辺の再開発」。前回ご紹介した「武蔵野プレイス」などです。URサンヴァリエ桜堤にお住まいの子育てファミリーや高齢者のみなさんには格好の施設となっているのでしょう。今は2015年度竣工を目標に武蔵境駅北口広場基本計画に基づく整備事業が進められています。
■写真出典:武蔵野市HP
http://www.city.musashino.lg.jp/machizukuri/musashisakai_machizukuri/010444.html
そして今後の再開発の焦点は、再び「吉祥寺駅」周辺に移ります。
日頃から吉祥寺にいらしている皆さんなら
・「吉祥寺駅、最近ずっと工事しているよな」(①)
・「以前、ユザワヤが入っていた駅ビルが取り壊されたな」(②)
・「駅の東側、末広通り入口のビルの建て替えが進んでるな」(③)
・「中道通りの入口、三菱東京UFJ銀行のビルがなくなった」(④)
・「油そばの有名店”ぶぶか”が移転したな・・・」
という感想をお持ちの方も多いかと思います。
■写真出典:吉祥寺駅アトレの建て替え風景
これらはすべて吉祥寺の新たな再開発やビル建設に関連しているのはもちろんのこと。具体的な事業名称やら新たなビルの規模を整理してみますと
①JR吉祥寺駅改良工事
②京王吉祥寺駅ビル建替工事(地上10階地下2階 延面積:27980㎡)
③吉祥寺南町二丁目プロジェクト(地上9階地下2階 延面積:8838㎡)
④吉祥寺本町二丁目計画新築工事(地上7階地下2階 延面積:6582㎡)
⑤謎のプロジェクト
となりますね。
また、それぞれ事業年度が決まっており、
①2011年4月1日~2014年3月31日
②2011年4月1日~2014年3月31日
③2013年7月3日~2014年6月30日
④2013年4月1日~2014年8月31日
⑤2016年頃~?
ということになります。⑤を除いてすべて2014年完成です。
■写真:吉祥寺南町二丁目プロジェクト
これだけのプロジェクトが竣工する来年2014年は、吉祥寺にとって昭和62年4月「吉祥寺駅周辺都市計画事業完了」に匹敵する変革をもたらすのではないでしょうか。駅から半径200mに大型商業集積が散在するのが吉祥寺の都市構造の特徴。中核に位置する京王吉祥寺駅ビルには、吉祥寺の街歩きの導線の魅力を引き立てる存在にぜひなって欲しいものです。
このように再開発が並走する背景にはいろいろな要因があります。
たとえば例を挙げると、①都心郊外での都市間競争、②昭和40年代に建設された一部建物の老朽化・耐震化に伴う建て替え、③人口減少に伴う旅客収入減を補完するため駅ナカ&駅近の自社商業集積活性化を図るJRグループの戦略、などがあるでしょう。②だと京王吉祥寺駅ビル、かつての「ターミナルエコー」ビルがあてはまり、③は現在の「アトレ吉祥寺」があてはまります。
①はどうでしょうか。これは、たとえば2000年度にJR駅乗降数が逆転した立川と吉祥寺の関係を考えるとわかりやすいでしょう。現在(2012年度)の駅乗降数は立川(157,468人)、吉祥寺(138,483人)となり差が開きつつあります。
また最近注目したいのは国分寺駅(同106,523人)の「国分寺北口地区第一種市街地再開発事業」着工のニュース。事業年度は昭和30年度までです。
この計画、ご存じの方も多いと思いますが、そもそも都市計画決定されたのが昭和40年4月と古く、それから既に50年近くが経っています。ちなみに昭和62年に竣工した「吉祥寺駅北口再開発」の都市計画決定は昭和39年10月と、計画決定はほぼ同じ。まさに時期的に兄弟分の事業。両社の差をみるに再開発事業の難しさを改めて伺い知れます。
ちなみに国分寺駅北口はこの事業によって地上33階、31階の2本の高層ビルが林立する広場に生まれ変わるのだとか。賛否両論がありますが、再開発が終われば居住者も増え、オフィス誘致も進んで駅乗降数がさらに増え、年間約30000人差で先を行く吉祥寺駅の背中が見えてくる感じになりますね。
■写真:国分寺駅北口再開発イメージ図
ということで、今回は吉祥寺駅周辺の再開発の概要を整理してみました。2014年に大きく変わる吉祥寺の街、次回は個別の計画・事業内容と先に挙げた「⑤謎のプロジェクト」について探っていくことにします。