第105回 吉祥寺の街が変わる!?進む再開発事業とは (番外編)
















秋深まる

2013年もいよいよ晩秋クリスマスや歳末の足音が近づいてきました。吉祥寺駅北口でも11月3日にイルミネーションが点灯、武蔵野八幡宮でも酉の市(11月3日、15日、27日)が開かれ、多くの露店が「縁起熊手」を求めるお客さんで賑わっています。

新しくなった吉祥寺駅の南口も、井の頭恩賜公園に紅葉詣がてら歩く人で溢れ、コナラやアカシデといった落葉樹が公園を赤く染め初めています。そんな井の頭恩賜公園から徒歩5分の場所に開店したのが「ドン・キホーテ吉祥寺店」です。




















2013年4月8日

株式会社ドン・キホーテの取締役会で、前社長の成沢氏から経営のバトンを再び受けたのが創業者の安田隆夫氏。その後2013年7~9月期決算は経常利益が104億円となり、前年同期比25%増と過去最高益を記録しています。

また、同社が注力しているのが米国事業。日本食人気を背景に弁当や総菜を求める固定客をつかみ事業が軌道に乗りつつあります。また12月には純粋持ち株会社に移行予定で、国内・海外事業の子会社化を計画中だとか。

まさに創業経営者ならではのドラスティックな事業展開を図る同社ですが、もう1方の核が大都市圏の駅前物件に対する出店加速その首都圏での目玉が吉祥寺店となります。


















11月15日AM10時

吉祥寺ではコピスやアトレ以来、久しぶりの大型店開店となったドンキホーテ吉祥寺店。店頭の熱帯魚が泳ぐ店頭の巨大水槽がアイキャッチとなっており、これは同社中目黒本店と同様のアプローチ。

そして注目の1階フロアは「おやつの殿堂」、つまり菓子・雑菓類ということになりました。同社の経営の特徴は、商品仕入れを約6割が本部直轄で残りの4割を店舗が独自の判断で行うという点。店舗が立地するエリアの特性に合わせて店舗に独自の権限を持たせて商品仕入れを行い、収益を上げる方式です。余談ながら同時期にオープンした広島八丁堀店の1Fは「コスメ」「食品」ですから、この商品・フロア構成には吉祥寺店ならではの戦略がありそうです。



















これも余談ながら、国内のお菓子購入額世代別トップ40代または高齢者。思えば吉祥寺でも北口駅前の「まちおか」などの大手菓子店が繁盛する中、南口側にはお菓子屋さんが少ないイメージがありました。また同社の最高益に貢献している利幅の大きい「PB商品」と相性がいい点も理由の一つでしょうか。

■出典:お菓子何でも情報館
 http://www.zenkaren.net/_0700/_0705

そして吉祥寺において競合が激しそうなファッションや時計・ブランド品は上層階に配するなど、立地環境と後背地の特性、そしてビルオーナーの丸井さん(正確には青井不動産)へも配慮された?フロア構成です。やはり「食品」「雑貨」等の業種で影響が及ぶ他店舗も出てきそうですね。



















また、同店の営業時間は24時間。まだまだ開店当初で物見客が多いとはいえ、22時以降も下層階を中心にお客さんが入っている様に見えます。南口ではこの時間に営業している物販店がコンビニエンスストア以外は限られており、夜の買い出しには重宝されそうな予感。ただ駐車場が無く来店手段が限られる中で、夜の客層は駅南口利用者が中心になりそうな雰囲気ですね。


駅南口利用の広域来街が見込める井の頭恩賜公園のお花見シーズンは酒類、菓子、雑貨・パーティー用品等でグッと存在感を増してきそうですね。その反面、翌朝の公園に同店のレジ袋が散在するといったリスクもあり、定期的な公園ゴミ回収サポートなど、店舗としてのCSR活動にも気配りが必要でしょうか。もっともこれは公園利用者のモラル次第なのですが。



なお24時間とはいえ朝の時間帯はこれからでしょうか。休日の朝9時頃の店頭は閑散として客も疎ら。レジのみなさんも手を持て余している様子。余談ですが、「朝に弱い」と言われる吉祥寺がここでもまた証明された感じでしょうか。



















そして

ほぼ隣接する丸井の吉祥寺店も着々と対抗策?を講じています。その目玉でしょうか、静岡店から新店長さんが10月に着任していますね。

ちなみに丸井静岡店は、JR静岡駅の北口から徒歩5分程度に立地していますが、そこから徒歩7~8分のところにあるのが「ドン・キホーテ両替町店」。こちらも吉祥寺と同様の多層階の中心地型店舗です。また周辺にはパルコや松坂屋(百貨店)やモールが広がるという、どこか吉祥寺と似た商圏構造を持つエリア。静岡での経験を活かせるでしょうか。

対する、北口の「おかしのまちおか吉祥寺駅前店」さんも現在、店長および店長候補を募集中です(2013年11月17日現在)。むろんドン・キホーテ吉祥寺店開店に伴うものかどうかはわかりませんが。



















そして店内に目を移すと、高くまで隙間なく陳列する「圧縮陳列」が健在です。ただ息が詰まるほどではなく、空間に適度な余裕を残しており、どちらかといえば同社の高級業態「ピカソ」に近い印象。先日、武蔵野市の邑上守正市長が「店のデザインについては華美にならず、広告物についても配慮してほしい」と指摘しており、そのあたりが意識されているのでしょうか。

また注目はエレベーター。無印良品吉祥寺店にはなかったエレベーターがあります。業務用エレベーターを改修して一般用と併用しているのでしょうか。

■出典:読売新聞:少々複雑、吉祥寺駅前にドンキ24時間オープンhttp://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131114-OYT1T00371.htm



何はともあれ

吉祥寺駅南口再開発の号砲となる「ドン・キホーテ吉祥寺店」の開店。今後の展開が注目されますが、大きな分水嶺はは来年2014年4月に予定されている「消費税の8%への第一段階増税」。景気は上向いているとはいえ、増税後の生活防衛意識の高まり、価格志向はやや強まるというアナリストらの予測が多い中で、同社のとる戦略は「増税直後に大規模なセールを実施して真っ向から消耗戦を仕掛け、シェアを高める」方向性だとか。

















事業拡大の最中でキャッシュもあり、財務リスクの取りやすい同社のオプションとしてアリですが、やはり「吉祥寺は大型店と個人商店が一緒に街を盛り上げてきた」(吉祥寺活性化協議会 塚本真史会長)「地元と協力しながら、吉祥寺の一員として街の発展に貢献してくれたら」(武蔵野市 邑上守正市長)との声にも耳を傾けて、しっかりと吉祥寺の街と共存共栄を図ってほしいですね。

出典:日本経済新聞(2013/11/10)「増税で迫る「消費の崖」 流通企業どう乗り越える」

ということで

今回は「吉祥寺駅南口再開発編」の番外編、先頃オープンしたドン・キホーテ吉祥寺店について特集してみました。