第128回 祝!井の頭公園100周年
2017年5月1日
2017年5月1日、井の頭恩賜公演が、ついに百寿(100歳)になりました。吉祥寺の街になくてはならない緑のオアシス、井の頭恩賜公園。
ゴールデンウィークには、100周年「記念ウィーク(井の頭恩賜公園100周年実行委員会)」が開催されます。期間は、5月1日~7日の間、多くのイベントが開催予定です。Blog de 吉祥寺では、この100周年を記念して、過去、多くの特集を組んできました。単独回としてトップ10に入るアクセスを誇る「第113回 閑話休題:井の頭公園の『掻い掘り(かいぼり)』をめぐる騒動を考える」を含め、これまでの特集をすべて公開させていただきます。
■写真:宮内庁から東京市長宛の井の頭恩賜公園計画敷地の下賜書面(大正2年 国立公文書館所蔵)
世界の外国人旅行者に愛用されており、五つ星評価で有名なミシュラングリーンガイド・ジャポン(2015年6月 改定第4版)。その中で、井の頭恩賜公園は、三鷹の森ジブリ美術館と共に「2つ星(寄り道する価値のある)」と評価されました。同じく2つ星評価は、国立新美術館、浅草寺、東京スカイツリー等と錚々たる観光地。まさに、東京を訪問する旅行者にとっても注目の的となっています。
■写真:ミシュラングリーンガイド・ジャポン(2015年6月 改定第4版)
http://nihon.michelin.co.jp/Home/Maps-Guide/Green-guide
公園開園100周年ではありますが、一方で、井の頭自然文化園開園75周年でもあります。さらに、実は井の頭恩賜公園開園の大立役者であり、明治時代を代表する実業家である渋沢栄一氏とも縁の深い年でもあります。 明治初期、井の頭の地に、明治維新の混乱で多くいた身寄りのない孤児たちを収容して小学校過程や技術を学ばせる寄宿生の学校「東京市養育院」。これを渋沢栄一氏が開設してから120周年である点にも注目すべきでしょう。
■写真:井の頭恩賜公園正門に立つ「東京市」の名称の入った石碑
この東京市養育院が井の頭に開設されなければ、井の頭恩賜公園開園の原動力となった、渋沢栄一氏と東京市公園技師であった井下清氏との出会いがありませんでした。さらに、渋沢栄一氏が開業に尽力し、当初は渋谷駅~井の頭公園駅間を結ぶ鉄道であった帝都電鉄(現:京王電鉄 井の頭線)もありませんでした。
■写真:井の頭線の前身「渋谷急行電鉄」の起業目論見書(路線変更)
さらに言えば、吉祥寺村が東京府に初めて編入されてから145周年(明治4年)である点にも注目したいところ。それまでの吉祥寺は品川県六番組吉祥寺村でした。そして、その前は武蔵県です。明治4年に戸籍法が制定され、同時に導入された大区小区制に合わせて翌年明治5年に神奈川県に再編入されてしまうのですが。
■写真:東京府から神奈川県知事宛の井の頭池の水草清掃の申請(国立公文書館所蔵)
ということで
100周年記念ウィークのタグライン「未来へつがごう、100年の想い」~かつての公園設計者 井下清氏の「吾人は大いに本園を愛護し、益々その発展を計り以て理想の郊外公園たらしめんことを期す」という想いをしっかり受け継ぎながら、いつまでも吉祥寺のオアシスであってほしいと思います。
■写真:かいぼり作業中の井の頭池湖底の積雪(2015年)