第129回 吉祥寺の街なかに、なぜ「空き店舗」が!?その背景に迫る(1)






吉祥寺で空き店舗?


最近、吉祥寺のまちなかで見かける「空き店舗」。吉祥寺の元町通り、サンロード、ダイヤ街、そして東急裏周辺でちらほら目につきます。一般的に、事業用賃貸物件に空きが出やすい時期は、年末年始の繁忙期を終えた2〜3月。ただ最近の傾向として特徴的なのは目抜き通りに面した1階や、築浅の物件で「店舗募集」の張り紙が出ていること。どこか、これまでの傾向と違ってきているようにも見えます。実はそこに、吉祥寺の商業まちづくりに影響を大きく与える「何か」が隠されているのかも。

そこで今回のBlog de 吉祥寺では、吉祥寺で増えている「空き店舗」の背景に迫ってみたいと思います。




さて


空き店舗の背景を考える上で、まず注目したいのは吉祥寺の街全体の状況について。ここでは吉祥寺の本町1丁目、つまり吉祥寺駅北口側で東急裏エリアを除く駅近傍の商業エリアに限ってみていきましょう。

















まずは、2014年の商業統計を見てみます


これによれば、吉祥寺本町1丁目エリアの年間小売販売額は約830億円。働く方(従業員数)は約2900人です。ちなみに、東急裏を含む吉祥寺本町エリア(吉祥寺駅北口)全体だと販売額は1300億円、従業員数は約4300人となります。なお、同じく多摩地区の大規模商業集積である「立川」と比べてみます。立川の繁華街、つまり駅北口の半径200〜300m圏内にある曙町2丁目エリアの小売年間販売額は約1000億円、従業員数は3300人余り。吉祥寺本町全体の約7〜8割の規模となります。この数値をとっても、吉祥寺が多摩地区随一の商業集積であることがわかります。


次に、吉祥寺の街の特徴を見てみましょう。



吉祥寺の街の特徴は「個人店」や「ファッション・雑貨」が多く、雑多・界隈性が魅力と言われてきました。実際はどうなんでしょうか。同じように統計をみると、吉祥寺本町1丁目エリアの従業員30名以下の小売事業者は、全体の96%。そして、業種別従業員数の構成比を見ると、ファッション・雑貨のお店で働く人は約3割、お店(事業所)の数でみると4割を超えています。一方、飲食業で働く人は同様に10%強に留まります。吉祥寺で、ファッション・雑貨のお店の占める割合の大きさが伺えます。

なお、飲食業は「東急裏」、つまり吉祥寺本町3丁目エリアの構成比が5%程度ありますので、それを合わせると10%台半ばとなります。





















ということで


少し整理してみますと、吉祥寺駅周辺、特に吉祥寺駅北口エリアは多摩地区随一の規模の街であること、そして小さい小売事業者が多く「ファッション・雑貨」のお店が多い、ということになります。

さて、今回のテーマの「空き店舗」問題。これら、吉祥寺の街の規模や特徴と、どのように話が結びついていくのでしょうか

次回に続きます。

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