第98回 閑話休題:10月6日は吉祥寺を左右する「武蔵野市長選挙」です























平成25年10月6日(日)

吉祥寺の街が立地する「東京都武蔵野市」。前回まで特集していました「吉祥寺南口駅前地区再開発計画」に対しても、2014年に同市が策定予定の「吉祥寺駅周辺の今後のまちづくりに向けたアクションプラン」を通じて大きな影響を与えそうなのが、2013年10月6日投票となる「武蔵野市長選挙」


今回はこの武蔵野市長選挙を概観してみることにしましょう。








 
















2013年4月19日 公職選挙法改正

によって一定規制の下で解禁され、今年7月の「第23回参議院議員通常選挙」で話題となった「インターネット選挙」。賛否両論あった訳ですが、結果はどのように評価されているのでしょうか。その後、インターネット選挙を総括する角度からGoogle社他が実施した共同調査「ネット選挙動向調査」によれば、


<第23回参議院議員選挙について>

 ①90%以上がテレビ番組で政治情報に触れる
  (ウェブサイトは40%程度)
  若年層におけるウェブ活用も低かった
 

 ②ほとんどの政党の公式サイト(候補者含む)の訪問率は1%未満
 

 ③自民党・共産党の投票者はウェブでの情報接触が多い
  民主党・みんなの党の投票者はテレビが多い
  維新の会はどちらも高い
  (各政党の投票者によって、メディア接触のパターンが異なる)
 

 ④政党のウェブ検索と実際に投票する政党の間に関連性はない


という結果(第23回参議院議員選挙)で、事前期待ほど投票行動に影響はなく、今後の運営に課題を残したという評価でした。

■共同調査「ネット選挙動向調査」
 http://www.huffingtonpost.jp/2013/07/29/google-net-bigdata_n_3674078.html


 

無論、今回も市長選挙も「ネット選挙」は解禁されている訳です。まだ告示前ではありますが、3候補者の一覧をまずは見てみましょう。

























■資料出典:Blog de 吉祥寺で独自に整理


ネット選挙で勝利するにはどういった点が決め手になるでしょうか。

ちなみに、市長選の行方を占う上で一つのベンチマークとなったのが、9月25日(木)にBlog de 吉祥寺でも取り上げた元日建設計の山下和正氏の名設計、築後50年を経た武蔵野公会堂で行われた「武蔵野市長選」公開討論会

























主催は武蔵野青年会議所さんですね。


しかし残念なことに、ここでの討論は「争点の乏しさから市民の関心は低く、過去最低だった2009年の前回市長選の投票率43.03%をさらに下回る可能性もある。市選管は危機感を持っていると話していた。9/27 東京新聞)」とのこと。このままでは普通の武蔵野市民の皆さんにとっては、あれ?何となく終わった?感あふれる選挙になりそうです。逆に言えば浮動票が減り、支持基盤の厚い政党に有利な選挙になりそう、ということですね。

前回2008年の武蔵野市長選挙の投票率は43.03%です。前回の第23回参議院議員選挙の投票率が52.61%でしたから、首長選挙という、市民の生活に関わる比較的わかりやすい構図にもかかわらず、投票率はやや低迷しつつあると言えるのではないでしょうか。


ちなみに1951年に実施された武蔵野市の第1回選挙の投票率は77.02%でした。60年を経て30%強低下しています。前市長の土屋正忠氏が出馬しなくなった頃から投票率が50%を切る様になりました。別に前市長が投票行動の動機づけになっていたのではなく、価値の多様化の中で、政治にのみに頼らない社会設計の在り様が見えてきた、という時代背景なのかもしれません。

 

また余談ながら、一般的(理論的)には「選挙の論点が明確」になれば、投票行動や投票率にも正の影響が出ると言われています。























やや小難しい話で恐縮ですが、たとえば「合理的選択理論に基づく投票参加モデル」という経済学の期待効用モデルに似たモデリングによる投票行動予測も「個人の利得が明瞭になる」ことがモデルが有意に転ずる前提ですし、政治学的言えばバッファー・プレイヤーによる戦略投票行動や、行動経済学の観点から言われる「スノッブ効果」や「バンドワゴン効果」にもその傾向があります。


今回の市長選ではわかりませんが、組織票で手堅い候補者の場合、かく乱要因の浮動票に投票敬遠させるため、あえて論点を際立たせない戦術もあります。任期中の実績のみを主張して他候補と緩やかに差別化しつつ、マクロ経済でいう「ナッシュ均衡点」に波風立たせず票を落としていく方法論ですね。


ともあれ、選挙は論点次第、そこがしっかり際立たないと低投票率で終わり、手堅い候補はとにかく、有権者からすれば武蔵野市選挙管理委員会や選挙経費に対するコスパが出せずに「残念」という話になります(なので、ここは候補者に期待したいですね。前回の公開討論会ではそれが少し見え辛かったとの評価。無論ファシリテートに依る点もありますが)。





ちなみに 

ネット選挙と言えば2008年の米国大統領選挙(第57回)の事例が有名です。

























バラク・オバマ大統領が対立候補であった共和党のジョン・マケイン陣営に対してネット選挙で勝利したと思われる点について、日経BP社が、

●オバマ陣営では、サイトにアクセスするのは「ある程度は支持をもらっている層」と位置づけていた。その対象に、さまざまな活動への参加を促し、「強固な支持者=行動する支持者」として組織し、さらに支持者を拡大することを、サイトの機能として追求していた。

●オバマ陣営のサイトには、有権者への直接的な呼びかけが多い。それも、まるで隣の友人に呼びかけるような表現である。一方、マケイン陣営のサイトを見ていると、まるでオンラインでパンフレットを読んでいるようだ


■出典:オバマ陣営がネットを勝因にできた理由(2008年11月12日)
 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081111/111510/?rt=nocnt


興味深い考察をしています。



また一部の選挙分析レポートでは日頃からの支持者との関与の高さが決め手になった(選挙の時だけは×)との考察もあります。先のGoogle社の分析結果の①(マスメディア)は市長選ですので考えから外すとして、②について、よりオバマ陣営を倣ったサイトの造りができているか日頃からの支持者との関わりができているか、というあたりがポイントになるでしょうか。

ということで、10月6日(日)の武蔵野市長選挙































今のままでは低投票率が懸念されますね。


前回2011年の市議会議員選挙の議員別得票数、現在の市議会会派構成から簡便にザクッと得票予測すると、現市長の邑上候補がやや優位、木崎候補がそれを追い、深田候補が少し離されている、という構図でしょうか。しかし、2011年は国政が民主党政権下での選挙。現在の民主党の党勢をかんがえれば、同党を支持基盤に持つ邑上候補の得票は割り引いて考える必要があるかもしれません。市民による直接選挙の首長選ならではというところですね。


また米国大統領選挙の事例からすれば、邑上候補、木崎候補を追う深田候補のホームページが最も「パンフレットらしくない(マケイン陣営らしくない)」と言えるでしょうか。そこから強固な支持者が広がれば、逆転もあるかもしれません。

ということで、今回のBlog de 吉祥寺は「閑話休題」で選挙の話題でした。

武蔵野市民の皆さん、時間あれば投票に行きましょう。




■最新 Blog de 吉祥寺特集

吉祥寺の街が変わる!?進む再開発事業とは」シリーズ

2014年で大きく変わる吉祥寺の街。その各開発の概要と、南口で進む大計画の概要を追いました。

1:2014年、吉祥寺の街が大きく変わる
http://www.kichijoji-city.com/2013/07/blog-post_27.html

2:吉祥寺グランドデザインって何?
http://www.kichijoji-city.com/2013/08/blog-post.html

3:着々と進む吉祥寺南町2丁目と本町2丁目事業
http://www.kichijoji-city.com/2013/08/blog-post_9.html

4:進み始めた吉祥寺南口駅前地区再開発計画
http://www.kichijoji-city.com/2013/08/blog-post_18.html

5:吉祥寺停車場と南口の歴史
http://www.kichijoji-city.com/2013/08/blog-post_24.html

6:ドンキホーテ吉祥寺店、いよいよ南口に進出!
http://www.kichijoji-city.com/2013/09/blog-post.html

7:900年前の吉祥寺駅南口エリアに何が?
http://www.kichijoji-city.com/2013/09/blog-post_7.html

8:第二次世界大戦後の吉祥寺駅南口の飛躍
http://www.kichijoji-city.com/2013/09/blog-post_15.html

9:グローバルで見た吉祥寺駅南口。その歴史と将来。
http://www.kichijoji-city.com/2013/09/blog-post_22.html


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